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精神的、身体的に安全なSMの基本はどのようなものですか?


SMは多くの場合遊びであり、従って楽しいものです。しかし、SMは時には濃 く、強烈なものになる可能性があります。これからSMを始めようと思っている 人たちのために、SMのコツについて書きます。

まず第一に、コミュニケーションに気を使うこと。あなたが何をしたくて、何を したくないかをあなたのパートナーに知らせることが大事です。対話を途絶えさ せず、パートナーをよく見て、彼(女)が何を感じ、考えているのかに注意し、 パートナーの受け入れられる限界を尊重することが大事です。セイフワードを予 め決めておき、それを口にした場合は真剣に受けとめられるということを 明らかにしておくことが必要です。はっきりとパートナーと話し合ったのではな い限り、パートナーがあなたのファンタジーを共有していると思いこんではいけま せん。目隠しをされるのが好な人は縛られるのも好きだとは限らないのです。 もっとも重要なことは、プレイに参加する双方がいつ、どのような理由からでもプ レイを中止する権利を持つということを許容するということです。もし何かうま く行かないことが起こったら、プレイを中止して事態を収拾することが出来る程 度にお互いを尊重することが大事です。

感覚を磨くこと。無力さ、強烈な感覚、心理的な支配を伴うこともあるSMプレ イは強烈です。心の深い部分まで影響する場合もあるし、子供の時のトラウマや 心の奥底にある恐怖心を呼び起こしてしまう場合もあります。深い海を泳いでい ることを忘れずに、敬意、愛情を持って慎重に。しかし実験してみたいのなら ば、この現実におびえてSMから遠ざからないようにしましょう。二人が感じて いることをよく知り、オープンになるようにしましょう。SM(あるいはSMの ある要素)があなたのセックスライフの一部を担うかどうか自分自身で決めるこ とが重要です。「SMはあなたに向いている」とか「SMはあなた向きじゃな い」とか誰かに言われても気にする必要はありません。決めるのはあなたです。 プレイに当たって気配りが細やかであること。SMプレイは、(必ずしもそうで あるとは限りませんが)無力感、強度の興奮や心理的支配を伴うことがあり、衝 撃的なものです。SMは人の心の奥底にわけ入り、子供の時に経験したトラウマ や潜在的な恐怖といった感情を何の前触れなしに呼び起こすことがあります。危 険を伴っていることに常に気を付けて、そして相手を尊重し、愛し、注意を払う ことを忘れないで下さい。しかし、貴方がもしSMを実際にやってみようと思う なら、このような事実を恐れないで下さい。以上のことを心にとどめておくこと は、互いが感じていることをより深く認識するための一助となるでしょう。 一番大切なことは、SMがあなたの性生活に必要なものかどうかを自分で判断す ることです。「SMはあなたに向いている」とか「SMはあなた向きじゃな い」とか誰かに言われても気にする必要はありません。決めるのはあなたです。

率直であること。もしあなたがしたくないことがあるなら、パートナーに押 し切られてはいけません。SMプレイを始めると あなたが経験したこともないことをパートナーが欲していたり、乗り気じゃない ようなことをパートナーがしたい気分になる場合が多いことに気づくでしょう。 私の経験から言えば、そのような場合は、普通は「ちょっと待って、やりた いことが違うんじゃない?ちょっと話し合ってみようよ」と言う方がベターです。 あるシーンで本当はやりたくないことをするのは、盛り上がりを欠いたり、時 によっては一刻も早く終わってくれと思うような体験の原因となったりします。 時間はたっぷりあります。率直さと、強要しないことが、長続きする信頼の基礎 となるのです。

D/Sプレイの中でも特に強烈なものは、ボトムが自らの選択の自由の一部をトッ プに明け渡し、トップがボトムに対して命令する「支配と服従」です。多くの、 限定されたプレイしかしない人でも、全く安全にプレイでき、そこから多くの快 感と満足感を引き出すことができますが、自尊心の低い人にとってはこのような プレイは精神面でのリスクを伴うことがあります。つまり「支配」する側が自分 の力を乱用し、D/Sの関係を利用して、「服従」する側が自分は取るに足らない 無力な人間だと感じさせ、いっそうその自立性を奪っていくという危険性です。

もしあなたが、自分自身の価値というものに対して疑問を持っており、他人に服 従することが(たとえあなたにとって魅惑的な考えであるにしても)自己の劣等感 を確認し、より強化していくと感じているなら、今のあなたにとってD/S プレイが果たして適切なものかどうか、じっくり考えてみる必要があるのではな いでしょうか。答えは「ノー」であるということも十分あり得ます。逆に、もし あなたが服従願望をもつ人を支配したいと望み、服従させることがそのような人 間に対する最高の報賞だと考えているなら、あなたが果たして、自らのことをそこ まで無価値な人間だと考えるパートナーを欲しているのかどうかをじっくり考え てみる必要があるでしょう。一般的には、自分の動機や限界について、SMをす る人全てが十分に考えておき、SM(それがどのような形をとるものであれ)が 自己実現をもたらすものか、自己破壊をもたらすものかをはっきりさせておく必 要があります。

危険なものとそうでないものとの境界は必ずしも明瞭ではありません。ある特定 の行為、役割、あるいは言葉が、あなたを不安にし、こわがらせ、あるいは劣等感 を与えることもあり、そういった行為、役割、言葉を避けたいと思うかも知れま せん。ネゴシエーションはまさにそのためにあるのです。貴方は自分にとって気 持ちいいことをする権利があり、また、あなたのパートナーに自分の限界を尊重さ せる権利があります(言うまでもなくこれはBDSMに限らず全ての関係にあて はまることです)。いつD/Sの関係が行き過ぎ、あるいは虐待的となるのかと いった問題は、現在a.s.b.でも議論の対象となっているところです。重要な問題 ですから、当然のことです。

BDSMは時には一種のセラピー(精神的治療)に似ることがありますが、決し てセラピーの代わりとはなりません。弱いものから力を奪うことはそもそもでき ないという言葉があります。健全なD/Sの関係はお互いの尊重、そしてお互い が強制されず、理解した上でこのような生き方を選んでいるという認識の上に成 り立っています。サブミッシブは服従することに誇り感じ、そしてドミナントは 服従を享受することに誇りを感じています。SMは、服従するパートナーを完全 にコントロールすることにより、パートナーを後戻りできないほど無力にし、従 属させることを目的とする虐待関係とは全く異なるものです。

話を実践面に戻します。あなたがトップで、ボトムを縛ろうとするなら、注意を怠 らないようにしなくてはいけません。あなたのボトムはこれから恍惚の時を過ごす ことになるのですから、ボトムが気持ちよく楽めるかどうかをチェックすること はあなたの役目となります。この「楽しみ」はあなたの好きなようにエッチで意地悪 にできるのですが、ボトムが退屈しないように気をつける必要があります(もし トップの貴方が、ボトムが2人の合意を破ったことに対して憤慨しているなら、 ボトムを無視したり追い返すことが最も厳しい罰になるでしょう。もっともこれ は上級向きのことですが)。

エイズのことを絶えず念頭に置く必要があります。唇を閉じたままのキスや、肌 と肌との触れ合い以上のほとんど全ての行為は、ゴムのカバー等を使わない限り 潜在的に危険です。指、性器、口、アヌスのいずれの組み合わせについても防護 なしの接触は避けるべきです。クンニリングスや口とアヌスの接触にはゴムのカ バー(デンタルダム)あるいはサランラップを必ず使用し、手を挿入するときに は手袋(訳注:医療用)、ディルドやペニスにはコンドームを必ず装着して下さ い。潤滑用のローションには水性のもの(アメリカではForPlay, Astroglide, Wet, KY Jelly等のブランド)を使うようにして下さい。ローションにHIV(訳注:エ イズの原因となるウイルス)を殺す薬品ノノキシロール9が含まれていればなお 良いでしょう(もっともノノキシロール9に対してアレルギーを起こす人もいま す)。オイルやオイルベースのローションはゴムを溶かしてしまうので要注意! 油やマッサージオイルは、手袋やコンドーム(及びラバーのコスチューム)に付 かないようにして下さい。

血、精液、ラブジュース、尿は全てHIVを含んでいる可能性があります。ハード な、しかし安全なプレイを心がけて下さい。安全な楽しみ方の巾が広がるのはS Mの面白味の1つです。しかし同時に危険な楽しみ方の巾も広がります。安全に SMを楽しむポイントはまだあるのですが、より詳細に知りたい方は末尾にリス トされている本を参照して下さい。

多くのトップは、懐中電灯、プレイに使用する全ての錠の合い鍵、すぐに拘束を 解くために使用する片方の刃が扁平な(訳注:皮膚に触れる方)包帯用ハサミ、 完全な応急手当セット、体液と接触する器具用の消毒剤(アメリカではBactine やHibiclens)、相手の好みに合わせた数種類のローション等「セイフ・セック ス」用品を含む、「安全なSM用キット」を考案しています。これらについての 優れた解説は、「リソース」の章で紹介している「SM101」という本を参照して下 さい。

また、熟達している人に教わったのでない限り過度の危険がともなうと考えられ ている行為もいくつか存在します。そのひとつが吊りです。吊りには相手に重傷 を負わせる可能性のある多くの落とし穴があります。十字架への磔は特に危険な ものです。また、ボディピアスも初心者が行うべきものではないでしょう。ノウ ハウ、正確さを必要とし、ミスは大変な事態をもたらす可能性があるからです。

幸いなことに、拘束、スパンキング、そして相手をもてあそぶことなど、SMで 行われることのほとんどは上で述べたものよりずっときつくありません。まずは 軽くはじめ、2人が望むまで徐々に密度を濃くしていきましょう。自分のしてい ることによく注意を払い、そして常識を働かせれば大丈夫です。ゆっくりは じめて練習することです。楽しみながらすぐに上達し、これまで夢でしかなかっ た世界に飛び込めるでしょう。


[訳注]
NONO9が日本で許可されているかどうかは調査中です。


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1995年8月10日作成、1995年8月10日修正 コピーライト by Johnson Grey.
1995年10月30日翻訳 コピーライト by 村上直之&"The Disciple".